「マシュー、最近、熱心に勉強しているようね。ローズおばさんが、感心していたわよ。」と、エリスが言いました。
「そうなんだよ、勉強をするのが楽しくなってきたんだ。」
「それにね、今までは教会の教えは全て正しいことだと思っていたけど、その教えを自分で考えてみることが大切だと思うようになったんだ。」と、マシューは答えました。
「私も今の診療所を任されるようになるまでは、マザーや他のシスターたちと一緒に、聖書をたくさん学んできたわ。」
「でも、辺境の地の教会に行くようになって、先代の牧師ユリウスといろいろと話すようになってからは、私も今のマシューのように、自分で考えることが大切だって思うようになったのよ。」と、エリスは話しました。
「普段のエリスは、キリストの教えについては、ほとんど話さないよね。」と、マシューが言いました。
「だって私は、神への愛と隣人への愛を行動で示したいタイプなのよ。だから診療所で働けるように頑張ったのよ。」
「それでも、先代の牧師から聞いたシルバーバーチの教えを、マシューに伝えたいわ。」
「先代によると、シルバーバーチと呼ばれるスピリットの教えは、キリストの教えの続きを語られているそうよ。」
「それにね、パスターは、シルバーバーチの教えを学んでから、一度捨ててしまったキリストへの信仰心を、再び復活させることが出来たと言っていたわ。」と、エリスは語りました。
『何事も神の法則から離れて起こることはありません』(シルバーバーチの霊訓より)
神は一羽の雀が落ちても、そのことを知り給うといわれています。
この地上には数え切れないほど多くの人々が住んでおり、霊界に旅立った無数の人々もいますが、神はどうして一人ひとりに起こることをすべてご存知なのでしょうか。
神といわれるのは大宇宙の法則です。
神はすべてのものに内在しており、万物は神です。
魂は自分を知っているが故に、神も魂を知っています。
雀は神なのです。だから神は雀を知っているのです。
風にそよぐ木の葉にも神が宿っていますから、風にそよぐ木の葉も神です。
地上であれ霊界であれ、宇宙であれ、地上ではまだ未知の天空であれ、どのような場所においても、神の法則が厳然として支配しています。
何事もこの法則から離れて起こることはありません。
ですから、神である自然法則の支配範囲にあるものは、すべてが知られているのです 。
『あなた方は神の中にいるのです』(シルバーバーチの霊訓より)
神はあなた方の中にいます。
あなた方は神の中にいるのです。
イエスも、「神の王国はあなた方の中にある」(ルカ・17-21)と言ったではありませんか。
キリスト教の指導者なのに、なぜイエスの教えが何もわかっていないのでしょう。
あなた方は決して神から離れてはいないのです。
神は決してあなた方から離れてはいません。
その事実をあなた方が変えることは出来ません。
あなた方がかりに最低の最も下劣な犯罪を犯したとしても、それでも神との関係を断ち切ることは出来ないのです。
神とあなた方を結びつけている絆は不滅であり、そのためにあなた方が見失われることは決してありません。
あなた方が生活の中に神が顕現されていくことを学んでいけば、直接、神に近づいていくことが出来ます。
あなた方は誰でも神の一部を持っていますから、神とあなた方の間に入る仲介者などは要らないのです。
イエスも仲介者になるつもりはありませんでした。
彼がこの世にやって来たのは、大いなる神の存在が十分に感じ取れるような生き方を人々に教えるためでした。
この地上世界では、神学は大きな災いです。
神学は人々を束縛し、人々の魂を牢獄に閉じ込めてしまいます。
それから逃れて自由になるためには、考えの狭い信条や、ひとりよがりの教義からは身を以って断絶し、霊感のなかで得られる囚われのない真理を見つけ出すことを学ばねばなりません。
人間の心は、神からの霊感を超えることは出来ないのです。
そこまで話すと、エリスは目を輝かせ、
「マシュー、私はシルバーバーチの言葉が好きなの、それは文章が美しいと感じるからなのよ。」と話しました。
「エリス、これで辺境の牧師が、みんなはイエスと同じ神の子であり、誰もが兄弟姉妹であるのです。と言っていた意味がわかったよ。」と言って、
「エリス、僕も同じことを感じたよ。」と、マシューは笑顔で答えました。