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シスター・エリスの霊眼


 「ようこそ、シスターたち。」と、牧師の男性が出迎えてくれました。

 

 「日が暮れる前に来れて、良かったですわ。ピーター牧師」と、シスター・エリスが答えました。

 

 「さぁさぁ、みなさん、お疲れでしょう。今、お茶を入れますので、こちらで休んで下さい。」と、ピーター牧師は、みんなを休憩室まで案内しました。

 

 しばらく経ってピーターが、「シスター・エリス……。診て欲しい病人とは、手紙を出したパスター本人です。ここ十日間ほど寝込んでいるのです。どうしても、シスター・エリスと話がしたいと言っていました。」と話すと、

 

 「わかったわ、今からパスターを診にいきます。」と、エリスは答えて、パスターの私室へと向かいました。


 「パスター、お久しぶりです。大丈夫ですか?」と、エリスは声をかけました。

 

 「来てくれてありがとう、シスター。」

 

 「私は、夢の中で、シスターに会うように導かれたのです。」と、無理に笑顔を作りながら、パスタ―は答えました。

 

 エリスがパスターを診るために身体に触れると、突如エリスの眼前に、パスターの前世が展開されていったのです。

 

 「パスター、これって……。」と、エリスは驚いた様子でパスターに話しかけました。

 

 シスター・エリスの霊眼が、開花した瞬間です。


 すごく古い時代に思えます。たぶん古代文明のような時代だと思う。

 

 今のような文明も法律も無い小さな国のようだわ。その国では、太陽のエネルギーを活用しているのがみえる。

 

 あなたは、その国で神官をしている。いろいろと役割が分かれているみたいだけど、あなたの役割は、身分の高い人にヒーリングをすることよ。そのヒーリングは、病気を未然に防ぐことも兼ねているのね。

 

 神官のあなたが、ヒーリングしているところがみえる。

 

 まず、太陽光を集積する特殊な建造物の前に立って、そこでエネルギーを集めているわ。そうね~、手のひらを上に向けて、両手を肩の横の方に置いたまま、真正面から受けて体内に蓄えているのがみえる。

 

 その蓄えたエネルギーを利用して、両方の手のひらを通して、相手の頭から順番に下の方へ動かしていって、エネルギーを全身に流している。

 

 非常に高い確率で病気を治すことが出来たみたいよ。

 

 でも、このヒーリングを受けられるのは、身分の高い人だけ……。それ以外の人たちは、病気になってもヒーリングを受けられないのよ。


 この時のパスターは、目を閉じながら、エリスが語る言葉をじっと聞いていました。