辺境の地から一通の手紙が届きました。それはエリス宛てのもので、手紙の差出人は、辺境の牧師からのものでした。
手紙の内容は、頼まれていた薬草がそろったことと、ぜひ、シスター・エリスに、辺境の地に住む病人たちを診てもらいたいことが記されていました。そして、そのための路銀も用意されていました。
エリスが所属している教会には、エリスの他にも多くのシスターがいます。エリスは、教会が用意した診療所に、他のシスターと共に住んでいます。
エリスの主な仕事は、定期的に滞在しているドクターの補佐と看護師の仕事です。その他にも、薬の調合をするシスターや心のケアをするシスターもいます。
マシューのように力仕事や雑用をしながら、シスターたちを手伝ったり、畑仕事を手伝ったりする者もいます。
エリスが住むこの町は、異国との境目に近い場所にあります。辺境の地と呼ばれる場所からも、それほど遠くはありません。それでも徒歩で半日以上かかります。
この町は、長らく隣国との友好関係が保たれてきたおかげで、辺境の地を経由してきた異国の人たちも多く滞在しています。他の町と比べてみても、人々には活気があふれ、親切で寛容性があります。
さらに、緑も豊かで、美しい花も咲き誇っています。しかも、食べる物にもほとんど困ることがありませんでした。
さっそく、エリスは教会のマザーに許可をとって、次の日には、マシューや数名のお供を連れて、辺境の地へと赴きました。
「それにしても、なぜ私なのでしょうか?パスターと仲の良い優秀なシスターが、他にもいるのに……。」