ゆきさんと光のシャワー


 みゅうちゃんが、大樹君から近況報告を知らされる少し前のことです。

 

 ゆきさんは、久しぶりに、ミディアム(霊媒)の先生と会って学ぶために、みゅうちゃんの町の近くまで来ていました。

 

 さらに、これを機会にして、俊哉さんの家を訪ね、みゅうちゃんと会って話をすることにしました。

 

 どうやら、おじいさんは用事があるみたいで、みゅうちゃんを連れてきた後、他の場所に出かけるようでした。

 

 そして、みんなでおじいさんを見送った後、それぞれがコーヒーや紅茶、ジュースなどを飲みながら、いろいろと雑談をしていました。その時、

 

 「夢の国から帰ってきたときに、疲れてヘトヘトになることがありますか?」と、みゅうちゃんは言って、

 

 「朝、目が覚めたら、疲れてヘトヘトになる時があるから、ゆきさんはどうなのかな?って、思ったの」と、質問しました。

 

 「私の場合は、身体的な疲れというより、自分と霊の世界との霊性の違い……ギャップとでも言えば良いのかもしれないわね」と、ゆきさんは答えて、さらに、

 

 「最初は、そのギャップが大きければ大きいほど、自分にかかる負担が大きくて辛いときがあったのよ」

 

 「今は、自分が成長し、そのへだたりが小さくなったことで、だいぶ負担も減ってきたのよ」と、話しました。

 

 「みゅうも、成長すればヘトヘトにならなくなるのかな?」と、ゆきさんに聞きました。

 

 「そうだと思うわ。それと、霊の世界からエネルギーを補充してもらえるようになれば、ヘトヘトに疲れたとしても、回復することが出来るはずよ」と、ゆきさんは答えました。

 

 「もしかしてそれは、地上に戻ってくるときの、マグマの地球から出るエネルギーを吸い込むことかな~」と、みゅうちゃんは言いました。

 

 「みゅうちゃんが夢の国から戻ってくる場合は、そうやって元気をもらうみたいね」と、ゆきさんは言いました。さらに、

 

 「だけど、これから話すことは、それとは違うと思うわ」

 

 「最近、人が霊的エネルギーを補充する時の様子を見ることが出来るようになったのよ。ただ、それを見るために仮死状態みたいになってしまって、私はこのまま死んでしまうかもしれないと思ったほどよ」と、話しました。

 

 「相変わらず、チャレンジしますね~」と、俊哉さんが言いました。

 

 「アハハ!まぁ、とことん行けるとこまで行ってみよう。って感じよ」と、ゆきさんは少し笑って言いました。そして、

 

 「霊的なエネルギーを補充する有様を見て、私はそれを光のシャワーと呼ぶことにしたのよ」

 

 「それでは、説明するわね」

 

 「まず、自分を中心にドーム状の空間が広がっているのをイメージしてね」

 

 「そのドーム状の空間の周りは、まるでマスクメロンの網目のような光が覆っているのだけど、イメージ出来る?」

 

 「さらに、そのドームの中心には穴が開いていて、そこに太陽のようなシンボルがあるの。そして、そのシンボルから自分に向かって光が降り注ぐのよ」

 

 「その光は、金色だったり、虹色だったり、光線だったり、様々なのだけど、その時その時によって、エネルギーが違って見えるのよね」

 

 「そのようにして、人は霊の世界から霊的なエネルギーが補充されているから、私は光のシャワーと呼んでいるのよ」と、ゆきさんは話しました。

 

 「みんなそうなのかな~」と、みゅうちゃんは聞きました。

 

 「みんなも同じように補充されていると思うわ。これは、私だけの特別なことではないのよ。神や世界がえこひいきをするわけがないし、もしも、私だけが特別扱いされるのなら、神や世界は公平ではないことになるわよね」と、ゆきさんは答えました。

 

 「そうだと思います。特別だとか、自分は選ばれたとか言うのは、神や世界の方ではなく、人間や人間的存在の方ですよね」と、俊哉さんは話し、続けて、

 

 「もしも知らない人が、『私は〇〇です。あなたは選ばれた特別な人です』と、自分に声をかけてきて、『ぜひ、あなたに〇〇をして欲しい』と言ってきたら、まず疑ったり警戒すると思うのだけど、そのような人でも」

 

 「これがスピリットだと話は違って、『私は〇〇です。あなたは私に選ばれた特別な人です。ぜひ、あなたに〇〇をして欲しい』と言われたら、コロッと騙されてしまう人がけっこういるようなのです」と、話しました。すると、みゅうちゃんも、

 

 「みゅうにも、大樹君の偽物が何度も現れたから、それはわかるよ」と、話しました。

 

 「そうね~」と、ゆきさんが頷いて、それから

 

 「話を戻すと、光のシャワーは、エネルギーを受ける側の、私たちの状態に左右されると思うの」

 

 「けれども、その光のシャワーを与える側が、どのような存在なのかで、また違ってくるとは思うの」

 

 「何故、そう思ったかと言うと、言葉にするのは難しいのだけど、Gちゃんずから、『神とは究極の自力本願と究極の他力本願とが合わさったもの』で、どちらか一方向の究極的存在ではないと伝えられていたからよ」と、ゆきさんは話しました。

 

 「つまり、光のシャワーについてもそうだけど、物事を理解するためには、自分の内側と、自分の外側の両方を考えた方が良いということになるわけだね」と、俊哉さんが言いました。

 

 「ねぇ、ゆきさん、みゅうも光のシャワーから、エネルギーがもらえるかな?」と、ゆきさんに聞くと、

 

 「もちろんよ!」と、ゆきさんは答えました。

 

 「後で、おじいさんにも教えてあげなくちゃね」と、みゅうちゃんは言いました。その間、

 

 「私のには、誰も答えてくれないの?……」と、俊哉さんが言ったような気がしました。

 

 それでは、みゅうちゃんと龍のまるちゃんの物語は、今回で終わりとなります。ありがとうございました。