「たっくんせんせ~い、霊訓ってなんですか?」と、みゅうちゃんが質問しました。
「はい、それは、霊の訓(オシ)えのことですよ」と、たっくんは答えました。
「それだけ~」と、みゅうちゃんは聞きました。
「だって、説明するのがむずかしいんだもん」と答えて、
「シルバーバーチの霊訓は、シルバーバーチによる霊の教えってことになるね」と、たっくんが言いました。
「それで、シルバーバーチは何を教えてくれたの?」と、みゅうちゃんは質問しました。
「あの…、ちょっとだけまってね……」と言ったあと、たっくんは目を閉じて黙ってしまいました。
その時のたっくんは、まるで神さまに、「シルバーバーチから何を学ぶことが出来ましたか?」と、聞かれたように思えたからです。
ほんの少しの間のあと、たっくんは、ふたたび話し始めました。
「ぼくは、本に書かれていることを、みゅうちゃんにそのまま話すことはできない。」
「どうしてかと言うと、みゅうちゃんが、いつか自分でシルバーバーチの本を読んで学んで欲しいと思っているからなんだ」
「だからぼくの言葉で、みゅうちゃんに何を学んだのかを、今から伝えたいと思う」
「ぼくは、シルバーバーチの教えを学ぶ前までは、霊はとても怖いものだと思っていた」
「でも今は怖くない。ぼくは今まで無意識に、霊と自分とは別々の存在だと思っていた。人と霊とは分かり合えないと感じていた」
「もしも自分の力が弱くて、万が一霊に襲われたら、とても不幸な目に合うと思っていた」
「それは、ぼくの中で、人と人とでさえ、分かり合えないと思っていたからかもしれない……」
「この世界は、自分が強くなければ生き抜くことは出来ないと、ずっと思っていた」
「だけどシルバーバーチの教えを学んでいるうちに、ぼくたちは、もともと霊的な存在であり、肉体の死後も、ぼくたちは存続して生き続けていくことがわかった」
「ぼくたちがこの地上に生まれてくるのは、ぼくたちが必要な進化向上を得るためなんだ」
「ぼくたちは霊的な進化向上を通して、より幸せになることが出来ることを、シルバーバーチは教えてくれた」
「しかも、シルバーバーチは、ぼくたちのすべてがグレート・スピリットの一部であり、みんなが兄弟姉妹であると教えてくれた」
「そう思えたら、この宇宙にいる全ての人と霊とは、きっと、分かり合えるだろうし、協力し合うことだって出来るんだと思えるようになったんだ」
「それこそ、動物や植物、鉱物も含めて、妖精や精霊たちとだって分かり合えるかもしれない」
「もしも強くなれなかったとしても、シルバーバーチの教えを知ることで、みんなで助け合うことは出来るかもしれない」
「今まで、こんな素敵な考え方があるとは、ぼくは知らなかった」
たっくんは一通り話し終えると、今度は黙って、みゅうちゃんの言葉を待ちました。
「むずかしいことはわからないけど、みんな友達になれるんだね」と、みゅうちゃんは言いました。
「そうだと思う」
「友達だと思えたら、みんな大切にすると思うんだ。たまには喧嘩をする時があるかもしれないけど、それでも友達だったら仲直りしようと思える」
「それが兄弟姉妹だったら、より強い結びつきを感じると思うんだ』と、たっくんは話しました。
「うん、うん」と、みゅうちゃんは大きくうなずき、
そして、「おりこうさんになりました」と言って、たっくんの頭を撫でるのでした。