青空がまぶしく感じる初夏の朝に、おじいさんは近くの河原のそばにポツンとある、小さな石づくりの祠(ホコラ)にお参りにいきました。
いつもは、山のふもとにある神社へ行って、そこの掃除をするのが日課です。
今日は、ある男の子に会うために出かけていたのでした。
「今日、会えるといいのだが……。良く晴れた休みの日には、顔を出しているはず」と、おじいさんはつぶやきました。
おじいさんは、川を隔てた隣町に住んでいる、ある男の子を探しに出かけたのでした。
おじいさんは小さな祠の前で、感謝の気持ちを込めてお祈りをしました。
それからしばらくすると、お目当ての男の子が、こちらに歩いてくるのが見えました。
「おう、たっくん、今日も空を眺めにきたのかい?」と、おじいさんが声をかけました。
「お空の神様に会うためにね」と、男の子は答えました。
「おおそうか。実は……、たっくんに頼みがあるんだ。休みの日に、孫のみゅうの話し相手になって、いろいろと教えてあげて欲しいのだ」と、おじいさんはお願いしました。
「いいけど、お菓子は出るのかな~?」と、たっくんは答えました。
おじいさんは、「もちろんだとも」と、にっこりして言いました。
たっくんは、みゅうちゃんよりも年上の男の子です。
おじいさんは、たっくんに一通り話し終えると、次の日曜日の午前中に遊びに来るように言って、家へと帰るのでした。