付・個人的存在の彼方

永遠の大道

G・カミンズ著 浅野和三郎訳


 解説

 

 私がここに紹介せんとするのは、フレデリック・マイヤースと名のる霊魂からの通信で、霊媒のジェラルティン・カムミンス嬢がこれを自動書記で受取り、去る一九三三年を以て一冊の書物として出版したものである。

 その主要題目は、宇宙人生観をはじめ、死後の世界の組織、人体の構成、又幽明交通に関する理論等で、大体われわれ心霊学徒が何よりも関心を有する重要項目を網羅している。

 それらの全部が必ずしも私の研究、又私の意見と符合するともいい兼ねるが、しかし殆どのいかなる類書に比しても私との共鳴点が最も多い。

 実際私は最近数年来、本書ほどの会心の作物に接したことがないのである。私が多大の興味を以て本書の紹介に当る所以(ゆえん)である。

 

 但しそれがマイヤース自身、筆を執って書いたものでなく、はなはだ不便、不利益な状態の下に他界から通信されたもの………。イヤむしろ霊媒によって翻訳させられたものであるから、所々に意味の不明なところ、又脈絡の混雑を来せるところもあるのは到底免れ難きはずである。

 で、私の紹介は成るべく自由な態度で、これに取捨(しゅしゃ)選択を加え、必要と見れば注訳又は評論を試みようと思う。私はそうすることが、最もよく通信者の面目を読者に伝え得るのではないかと考える。

 

 読者の中には、マイヤース並びにカムミンス嬢について、親しみがない方もあるかと思うから、これから簡単にその紹介を試みる。

 

 フレデリック・ウイリアム・ヘンリィ・マイヤースは一八四三年、英国カムバーランド州のケイスウイックに生まれた。父は同地の常任牧師であった。

 

 一八五六年、彼は十三歳でチエルテナム専門学校へ入学したが、その天分、就中その詩的天分は早く教師※儕輩の間に認められ、名誉賞を与えられること前後六七回に上った。(※さいはいと読み、同輩という意味)一八六〇年、剣橋(ケンブリッジ)大学の特待生に選ばれ、その在学中の身を以て休暇を利用して北米に遊び、その際ナイヤガラ瀑布の下流を泳ぎ越して時人を驚かした。英人でこの晴れ業を敢行したのは、マイヤースが先頭第一だとの事である。

 

 一八六五年十月、卒業と同時にトリニティ大学の古典科講師に任命されて、それ以来四年間その職を守った。つづいて教育本部の嘱託を経て、一八七二年、視学官に任ぜられ死の直前までその職を離れなかった。一八八一年以来は、居を剣橋に移してその所に永住した。

 

 マイヤースの一生の心血は、二つの仕事に集中された。第一は文学、第二は心霊研究であった。

 

 (以下省略)