霊訓原文241~256


 

 



 241. (シルバー・バーチが自らについて語る =1=)

 これは、シルバーバーチが霊界から通信を送れるようになるまでの長い苦闘について、自ら語ったものである。

 もうかなり昔のことですが、私は、この地上世界へ戻って霊界からの通信を伝える組織をつくりあげる気持ちはあるかと、尋ねられたことがあります。他の霊たちの多くもこうした仕事をしてきましたので、私もやってみますと答えました。こうして、この仕事をするようになりました。
 私はまず、霊媒となる者を探し出して、その霊媒を通じて霊界からのメッセージが伝えられるように、その者と常に接触していくことを教えられました。そこで、私はいろいろと霊界の記録を調べ、この霊媒を見つけたのです。
 この霊媒が受胎したときから、私は彼を見守っていました。本人の霊が生命の躍動を見せ始めた瞬間から―もっとも、それはほんの小さな光にすぎませんでしたが―即座に私の感化を及ぼすようにして、それがずっと今日までつづいています。
 私は、この霊媒の小さな魂と心の成長を助け、その生活のすべての面で彼が経験することを見守り、どのようにしたら彼と密接な関係を持てるかを学んできました。その上で、この霊媒の少年時代を通じて、彼のあらゆる精神発達過程とすべての身体的習慣に私自身を順応させていきました。私は、この霊媒の心と霊と肉体については、あらゆる点からこまかく学んできたことになります。
 それから私は、彼の人生の歩みを霊的真理の理解へと導いていかねばなりませんでした。まず最初に、彼にはこの地上世界の多くの宗教を学ぶように仕向けました。その結果、彼は、宗教に抵抗するようになり、いわゆる無神論者になっていったのです。それが彼の精神的開花に影響するようになって、ついには、私が彼の口を使って、私が霊界通信を伝えることができるようになる準備が整っていきました。
 私は彼に、彼としては最初の交霊会に出席するように導きました。そして、その交霊会で、霊力が満たされるなかで、私は初めての憑霊を試みたのです。それは、たいへん雑で、ありふれた交霊でしたが、私にとっては、非常に重要な交霊でした。私は、この地上世界で、はじめて他人の発声器官を使って自分の考えを伝えることができたのです。
 それ以来、私は通信が少しでもうまく制御できるように学んできました。そして、ごらんのように、ここまで出来るようになりました。いまの私は、進歩を重ねてきた結果、霊媒自身の個性的な特質を事実上すべて除去しながら、私の考えていることは何でも言えるようになっています。
 さて、私の使命について、少しお話しておきたいと思います。霊界の上層部の方々は、「あなたは地上世界へ入っていって霊媒を見つけ出したら、霊界通信の仕事に共感をもってあなたに助力してくれる人々を、その霊媒のまわりに集めなさい」と私に言われました。そこで、私は皆さんを探し出し、皆さんにこうして集まってもらっているのです。

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 242. (シルバー・バーチが自らについて語る =2=)

 しかし、私が直面した最大の問題は、次の二つの道のどちらを選ぶかということでした。一つは、物質界を納得させる霊魂不滅の証拠を提出するという道です。それも、霊的な証拠というのは物質界では理解できませんから、物的証拠を示すということです。そして、もう一つの道は、一人の教師として地上世界へ帰り、真理を伝えるということです。こちらのほうが難しいのですが、私は、難しいほうを選びました。
 私は、長年の霊界でのさまざまな体験を活かして、地上世界へ帰ってからは人々に愛をもって教えていきたいと申しました。私は人々の理性に訴えていくことにしました。思慮深い成熟した教養のある人たちの判断に訴えていきたいと思いました。霊的な教えを、できるだけ簡単に明らかにしていこうと考えていました。
 私は、人間の理性に反したことを言うつもりはありません。私はあくまでも愛を示していくように努めていくつもりでした。怒りで相手を叱りつけるようなことは決してしないで、常に愛を訴えていきたかったのです。そして、私の教えと実例と行為によって、私が神の使徒であることを証明していこうとしていました。
 その上で、私は自分の名を明かさないという負担を負うことにしました。それは、私が有名人であるとか、肩書きや階級や名声などで人に訴えるのではなく、私のことばや行為だけで判断してほしいと思ったからです。かつて、先の祝祭日に私が霊界へ行った時、多くの高級霊たちが私を称えて、私が十分に使命を果たしていると言ってくれたことがあります。私はうれしくて涙を流しました。でも、私の使命はまだ終わったわけではありません。まだまだ、やらねばならないことが残っています。

          
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 243. (シルバー・バーチが自らについて語る =3=)


 他の諸霊がこれまでに成し遂げてきた業績のお陰で―いま私たちも同じ仕事をしているのですが―この物質界にはかつてよりはもっと光明があふれ、幸せはより多くなり、悲しんで、涙を流すことは少なくなってきました。墓場の悲しみに対しては少しは勝利を収めてきたといえます。
 私たちは、多くの人々が生活のなかで彼らの高位の自我を発揮していくように励ましてきました。正義と真実に対する眼を曇らせてきた過去のうそ偽りの多くを追い払ってきました。長年にわたって地上を苦しめ、その愚かさのゆえに理性を辱めてきた教会の教義と信条の牢獄から多くの人々を解放するのに助力してきました。
 私たちは神の愛と叡智について教えようと努めてきました。それは、ある程度成功しましたが、神の愛とは決して偏ったものではなく、天罰や報復、怒りもなく、疫病、病害をもたらすものではないことを、熱心に説いてきたのです。また、イエスの実像を偉大な模範的人物として捉えていこうとしてきました。そして、多くの人々が、私たちの教えのなかにひそむ理性に眼を留めるようになってきたと思います。
 大きな仕事が成し遂げられてきました。しかし、まだまだ為さねばならない大きな仕事が残っています。地上の世界には、しなくてもよい戦争があります。もし、人々がこれらの真理を知り、真理にしたがって生きていくならば、殺し合いをすることはなくなるでしょう。それに飢えもあります。十分に神の豊かなみ恵みがあるのにです。新鮮な空気もなく、健康な陽光を浴びることもなく、生存可能の最低線以下の生き方を余儀なくされているあばら屋があります。欠乏と苦痛と悲惨もあります。

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 244. (シルバー・バーチが自らについて語る =4=)

 抹殺していかねばならない迷信もはびこっていますし、苦しみ悩んでいる人々もなくなってはいません。根絶しなければならない病気もまだ残っています。私たちの仕事はまだ完成してはいないのです。これまでに成し遂げられてきた業績には喜びを感じますが、あなた方の協力をえて、さらに大きな奉仕の仕事ができますように私たちに力を与えたまえと、神にお祈りしています。

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 私は、私を地上へ派遣した霊たちの代弁者にすぎません。栄光も報酬も、私は求めていません。私は、自分を偉く見せようとか、人格の高さを誇張しようとか考えてはいません。永い間見失われ、いまはこうして地上世界に、神の真理の刻印をおされてよみがえったこの真理の伝達者であることを私はうれしく思っています。
 私の役割は、霊界の通信を伝えるメッセンジャーです。私の霊媒と私の手に入れた能力に応じて私に与えられた通信の仕事を忠実に果たしていくように、いままで一生懸命に努力してきました。奉仕していくことだけが私の望みです。もし私の教えが誰かの苦難にあえぐ魂に少しでも平安を与えるのに役立つならば、そして、長い間の懐疑で苦しんだきた人が真理の憩いの場を見出すことが出来たなら、さらには、この単純で明快な霊的真理の聖域のなかで、誰かが幸せになり、奉仕の気持ちに駆り立てられるようになるのであれば、そのときにはおそらく私も、神のみ業の一部でも成し遂げることが出来たといえるのかもしれません。

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 245. (シルバー・バーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =1=)

 なぜ霊界の高級霊たちはわざわざこの地上に戻ってきて私たちを啓発しようとするのか。 それは、彼らがこの地上世界が何よりも霊界からの教えを必要としていることを知っているからである。ここでは、シルバーバーチが、私たちを教えるために帰ってきた理由を説明している。

 他の多くの高級霊と同じように、私もかつて、この物質世界へ戻ってきて、いま滅亡に瀕している人類と世界を救う気持ちがあるかどうかと尋ねられました。それから私は、地上の皆さんのなかに入って活動を始め、いまも活動を続けようとしています。それは、死者たちがこの世を去った後でも輝かしい神の世界で生き続けていることを、この地上の基準で証明したいと思っているからです。それとともに、皆さんも彼ら死者と同じく、神の分身であることをも、理解してもらいたいと考えているからです。
 しかし、このような私たちの努力にもかかわらず、この地上では、霊界からの教えに耳を傾けるよりも、自ら選んでこの世の些事に振り回されている人々が多く見られます。この教えが、この世でいう白人からのものであろうが、或いは、黒人、黄色人種、インディアンからのものであろうが、それは問題ではありません。この神の法則を伝える人の教養が高いか、低いかというようなことも、問題ではありません。何よりも大切なことは、それが神の法則であり、真理であるということなのです。
 むかし、あなた方は、「幼児から導かれる」ということを教えられていました。賢者たちの愚かしい知恵を振り捨て、純真な子供の心に戻らなければ、この世でも、霊界へ移ってからでも、大いなる進歩は望めません。この地上世界では、神なる太陽によって皮膚の色が色分けされてきた人々を、その色によって差別しています。皮膚の色に眼が曇らされて、すべての魂はもともと一つであることを忘れてしまっています。

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 246. (シルバー・バーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =2=)

 戦争がなぜ起こるのか、考えたことがありますか。この世にはなぜ不幸があるのでしょう。深い悲しみがなくならないのはなぜでしょうか。それは、人々が物質によって眼が曇らされ物質の狭い限界のなかでしかものを見ることが出来ないので、物質の背後には万物を統一する神の霊があることがわからなくなってしまっているからです。人々が差別をしようとするから、混乱が起こり、不幸になり、破壊をもたらすのです。
 前にも言いましたが、私はあなた方が“野蛮”と考えているインディアンです。その野蛮人が、この世の文明が忘れてしまった法則を神の摂理の一部としてあなた方に伝えるために、こうしてこの世に戻ってきました。人類は物質世界の制度の上にその生活を築き上げようとしてきました。教養と文化を高めようと努力しながら、いつのまにか、神の法則からはかけ離れた文明を築き上げてしまったのです。
 そのために地上世界は躓いてきました。古い昔の文明が滅んだように、いまの世界も崩壊に瀕しています。私たちはあなた方を愛するがゆえに、そしてその神からの愛が私たちを通じて流れ出るゆえに、私たちはこの地上に戻り、あなた方に協力して破壊から立ち直らせ、神の法である不滅の基礎の上に新しい世界を築こうとしているのです。
 かつてこの世に生きていた時には、私たちは有色人種でした。人は言うかもしれません。「君たちは有色人種だから、君たちによってこの世を正していくのは嫌だ。白人によって正しいていくのでなければ、悲惨なままでいたほうがいい」と。
 しかし、白人によって私たちが助けられていることも知っておいてください。あなた方自身の文明のなかで創りあげたものの中には、私たちに役立っているものが沢山あります。このように、神の法則は完璧に働いているのです。私たちは、霊界で学んできたことをあなた方に教えようとしていますが、同時に、あなた方からも役に立つ知識はなんでも吸収したいと思っています。このような相互協力の法則によって、やがてこの地上にも、新しい天国がもたらされることでしょう。

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 247. (シルバー・バーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =3=)

  いつの日か、地上世界の人類は皮膚の色の差別がなくなって融合していくことになるでしょう。それぞれの皮膚の色をもった人類には、それぞれに果たすべき役割があるのです。すべての地上の民族も融合して一つになっていくでしょう。どの民族にも、この世界に貢献できる何かを持っているからです。もしあなた方が霊的な眼でものを見ることができるのであれば、世界中の人々がそれぞれの民族の、そして、自分たちの文化や学術の優れた点を持ち寄って、共に調和の中に生きていく新しい時代の到来を見ることができるかもしれません。
 私たちは、あなたも私も、私たちと共に働く皆さんも、みんな神の意思を遂行していこうとしている神の僕です。それなのに私たちは誤解を受け、しばしば、本来、私たちの友であるはずの人々からも大いに敵視されてしまっています。しかし、私たちは仕事を続けていかねばなりません。神の眼からみて正しいことをしているからです。そのために私たちは、地上世界の何ものよりも強大な一切の霊力を私たちへの援助のために引き寄せているのです。やがて、少しずつ、善が悪を征するようになるでしょう。正義が不正義に勝っていくでしょう。真実が過ちを正していくでしょう。時には地上の勢力が霊界の力をしばらくは押し返すことがあるかもしれません。しかし、それが長く続くことは決してありません。
 私たちは必ず成功します。人類を救い、人類が奉仕に向けて気高く、優れた生き方ができるようにと私たちは努めていきます。人類は、やがて霊と魂と精神のもたらす豊かさを身につけ、物質界では得られない霊的世界の崇高で素晴らしい平安と幸福を享受することになっていくはずです。

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 248.  (シルバー・バーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =4=)

 私たちが現在取り組んでいるのは偉大な事業です。私たちみんなを結びつけ、霊的にも、目的においても、願望においても一体にならしめているのは、神聖な絆です。私たちの前に立ふさがり真理の前進を阻もうとしているものには、断固として反対していく決意を新たにしていきましょう。私たちが力をあわせて努力していけば、神の力が神の子らの中により近く浸透していくことになるのです。
 少しでも私のことばがあなた方の役にたつのであれば、私があなた方に尽くそうとしているように、あなた方の一人ひとりも、きっと、この俗世に入り込んで、人々への奉仕を心がけてくれるでしょう。知っていることを人々に伝えていくのはあなた方の責任です。それも、神の法則の一つなのです。
 私は一生懸命に神の法則をあなた方の言葉に直して伝えようとしています。私が言っていることを本で読んでも、あるいは、私の見解に賛成できない人々もいるかもしれません。私は、そのような人々とは違って、いま住んでいるのは霊界で、時には、地上の言語や私が使っている霊媒によって、制約を受けることもあるのです。もしも私たちの見解が一致しないようなことがあれば、それは、地上の人々の魂が偉大な真実を理解するほどまでには進歩していないためか、或いは、私の魂のなかで理解されている真理があまりにも巨大で、あなた方の言葉では表現できないためか、そのいずれかということになるでしょう。

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 249. (シルバー・バーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =5=)

 でも私は、いつでも身を捧げて神の法則を教えようとしています。この地上の人間が、神が望まれるような生き方をすることができるようになるには、どうしても神の法則を理解していくほかはありません。眼が見えないよりは見えるほうがいいのです。耳が聞こえないよりは聞こえるほうがいいのです。眠らされているよりは目覚めているほうがいいのです。人々の魂を神に向かって開かせていくようにしましょう。神の法則に対して人々が進んで調和を求めていくように導いていきましょう。そのようにして、はじめて、人々は神と一つになり、神は人々と一つになるのです。
 その時には、人々の心も魂も安らかになり、偉大な宇宙のリズムとも調和していくことになります。人々の生活からは不調和は消え去り、かつてない新しい生き方が始まっていくのです。
 すべての知識は重要です。これだけを知れば、もうそれ以上知る必要がないと考えるのは賢明ではありません。
 あなた方が、私の知っていることのすべてを飲み込んでくれるように、私は一生懸命にあなた方に伝えようとしています。それは、私があなた方より偉大な存在だからではありません。私が多くを知っていることを誇りたいからでもありません。持っているものを与えることによってのみ、私があなた方に奉仕することができるからです。

          
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 250. (シルバーバーチはなぜ霊界から戻ってきたのか =6=)

 知識はどのようなものであれそれなりに有用です。進歩の途中で、歩みを止めてしまおうとしてはなりません。生きるということの意味が真にあなた方に理解できるようになるためには、その意味を掴み取ろうとして知識を吸収していくほかはないのです。
 このことは、地上の物質的生活に限られることではなく、霊的生活についてもいえることです。あなた方の地上世界では、物質生活についての指導を必要としていますが、それと同時に、霊的な知識をも与えられることが必要だからです。実はいま、あなた方は霊的な世界に住んでいるのであって、物質世界は永遠の生活のほんの一分の反映でしかありません。そのことを、私たちはあなた方にいつも伝えようとしているのです。
 このことを知る人だけでも、その知識に忠実であってくれれば、私たちの成果もずっと大きなものになっていくでしょう。また、もし霊的な声に耳を傾け、霊界と地上の二つの世界を結びつけている現象に霊的法則の働きを見て取れる人がいて、自己のことだけを思い煩うよりも、魂を可能な限りどこまでも高く向上させていってくれたら、それは極めて大きな私たちの成果ということになるでしょう。
 知識を持ち人に尽くすというのは、人間としてとても大切です。私たちがこれまでに為し遂げてきたのは、これから成し遂げ得るであろうことに比べれば、ほんの僅かであるにすぎません。偉大なる神に対しては限界を設けることはできないのです。その叡智においても、啓示においても、今後の地上世界にふんだんにもたらされるであろう真理においても、神の力は無限です。もしあなた方のうちの霊媒たちが、私たちと交信出来る正しい通路を切り拓いてくれさえすれば、地上世界へは強力な霊力が際限なく注ぎ込まれることになるでしょう。

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 251. (交霊会主催者ハンネン・スワッハーの序文 =1=)

 私たちがシルバー・バーチと呼んでいる高位霊は、実はレッドインディアンではない。それは誰なのか、いまでも分からない。彼は霊界では非常に高い界層にいて、その次元からは波長の低い地上に直接語りかけることができないので、かつて地上にいたレッドインディアンの霊体を中継にして通信を送っているものと思われる。
 その高位霊が、「ハンネン・スワッハー・ホームサークル」として知られている交霊会の指導霊である。その指導霊が最近、このように言った。
 《私のかつての地上での名前は、いつの日か皆さんにも明らかにすることになるでしょう。ただ、私がこうして一人のつつましいインディアンに身を変えてやって来たのは、偉そうな名前によってではなく、私の説く真実の中味によって私が誰であるかを実証し、皆さんの愛と献身を勝ち得たいからなのです
 そのシルバー・バーチと私が出会ったのは、1924年に私がスピリチュアリズムの真実を確信するようになってから間もなくのことである。それ以来、私は、毎回一時間、時にはそれ以上も、シルバー・バーチの教えや助言や導きのことばを傾聴して、いつのまにかシルバー・バーチを、地上のいかなる人間よりも、より深く愛し、尊敬するようになっていった。
 シルバー・バーチの最初の地上へ働きかけは、不思議な出来事から始まった。ある18歳のスピリチュアリズムを勉強中の無神論者が、ある時、ロンドンの貧民街で行なわれていた交霊会にからかい半分で出かけたことがあった。ところが彼はそこで、「老女が急に中国の男性に変身するような変な現象」を次々に見せられて、思わず笑い出してしまったのである。その時に、トランス状態のまま霊媒が戒めるように彼に言った。「そのうちあなたも同じことをするようになるのですよ」
 彼は、その時はばかばかしいと思いながら帰っていったのだが、翌週に、再びその交霊会に出席したら、途中でうっかり眠り込んでしまった。眼を覚まして、慌てて非礼を詫びると、隣に座っていた人が、「あなたはいま入神していたのですよ」と言って、こう続けた。「入神中にあなたの指導霊が名前を告げて、あなたを今までずっと指導してきたが、近いうちにあなたがスピリチュアリストの集会で講演すると言っていました」
 これを聞いたその若者は、またそれを笑い飛ばした。

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 252. (交霊会主催者ハンネン・スワッハーの序文 =2=)

 当時はまだ、シルバー・バーチは英語で多くを語ることができず、それも、ひどいアクセントであった。それが、年が経つにつれて、何度もこの新しく見つけた霊媒を使いこなしているうちに、英語の力も目に見えて上達し、いまではその純朴で流麗な英語は、私がこれまでに聞いてきた誰の英語よりも優れて美しいといえるほどである。
 ところで、あの霊媒を務めているバーバネルが入神していることが、どうしてあなたに分かるのか、と聞かれることがある。シルバー・バーチは、何度か、バーバネルを通じて私たちに、この霊媒の手にピンを突き刺してみなさい、と言った。言われたとおりにピンを突き刺すと、もっと深く突き刺すように言われる。しかし、バーバネルは、入神から覚めても、そのことは何も覚えてはおらず、手に突き刺された跡も残っていなかった。
 また、シルバー・バーチのことばが霊媒の潜在意識からきているのではないことを、どのようにして見分けるのか、という質問を受けることもある。それに対しては、シルバー・バーチと霊媒のバーバネルとは、いくつかの点で、考え方が違うということをあげておこう。例えば、シルバー・バーチは生まれ変わりを説くが、バーバネルは、普通の意識では、生まれ変わりなどはないという。しかし、入神すると、バーバネルも、生まれ変わりは事実だと肯定するのである。
 もう一つ、些細なことだが、興味深い事実がある。シルバー・バーチのことばが「サイキック・ニューズ」紙に掲載されるようになって、速記者がそれらのことばを記録し始めるようになる前のことであるが、霊媒のバーバネルが、その日の夜ベッドに横になると、いつもその日、入神中に自分が話したことが霊耳に聞こえてくるのである。これには訳があった。バーバネルは、シルバー・バーチの霊媒になることを承諾した代わりに、入神中に自分が言ったことを全部聞かせてもらう約束をシルバー・バーチから取り付けていたのである。その後、速記録が取られるようになってからは、その現象は終わった。
 翌日、交霊会での記録を読んで、バーバネルは自分の口から出たことばであるのに、それらのことばの美しさに驚嘆させられることになる。

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 253. (交霊会主催者ハンネン・スワッハーの序文 =3=)

 シルバー・バーチは道を説く教師である。病気を治すことはしない。また、霊的な証拠を示すことも、あまりすることはない。それで、彼は、自分がこの霊媒を使いこなして霊的な教えを説くことだけに専念しているのだと釈明しながら、私たちの要求のすべてには応えられないことを詫びたりする。シルバー・バーチは、私たちへの教えが何よりも大切であることを十分に認識していながらも、この地上の世界では、死者生存の証拠を欲しがっていることも知らないわけではない。
 最近では私はいろいろな分野の人々を招いて、シルバー・バーチの話を聞いてもらうようにしている。牧師やジャーナリストたちが、それも世界各地から来ているが、シルバー・バーチの言っていることに不満を洩らす人は一人もいなかった。そのうちの一人で、交霊会に批判的な牧師がやってきたときには、私は、前もって彼に「あなたが考えるもっとも難しい質問を用意してきてください」と言っておいた。その牧師は、同じ牧師の仲間たちから何度も交霊会の指導霊についての悪口雑言を聞かされていたので、この機会に、その指導霊に難しい神学の問題をぶつけてやり込めてやろうと意気込んでいたのである。しかし、牧師はシルバー・バーチが易しいことばで、彼のいう「神の法則」について説明すると、ひと言も言えずに黙り込んでしまった。牧師にとっては難解な神学が、シルバー・バーチのことばでは、極めて素朴で単純な教えに変わってしまったからである。

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 254. (交霊会主催者ハンネン・スワッハーの序文 =4=)

 さて、シルバー・バーチが指導霊を務めている私のホームサークル(交霊会)は、毎週金曜日の夜に開かれている。そこでシルバー・バーチが言ったことは、一語一句そのままに記録されて、毎週、「サイキックニューズ」紙に定期的に掲載されている。その版権は私たちのホームサークルが持っているが、これは私たちの私用のためではなく、シルバー・バーチの教えを世界中に広めていくためである。
 今ではシルバー・バーチは、地上のどの説教者よりも多くの信奉者をもっている。世界中のあらゆる国々、ほとんどの民族、皮膚の色の異なるすべての人種の人々から敬愛されているのである。
 しかしながら、いったん活字にされてしまうと、シルバー・バーチのことばも、その人柄の崇高さ、あたたかい友愛のこころ、そのことばに自然に備わる威厳の、一端しか伝えることができない。交霊会の出席者はシルバー・バーチの教えに感涙することさえあるのである。シルバー・バーチがどんなに謙虚に話していても、そのことばに耳を傾けている私たちは、高貴で神聖な霊の存在をひしひしと感じる。彼は決して人を非難しない。人の悪口を言うことも決してない。
 キリスト教会ではナザレのイエスについてよく語られるが、教会の人たちは、イエスのことを、よく知ってはいない。イエスという人物が存在していた事実についても、何の証拠ももっていない。しかし、シルバー・バーチは、彼が霊界で会っている霊団の高位霊の中では、“ナザレ人”イエスを最高の霊格者として語っている。シルバー・バーチは、私たちとの長年の親しい付き合いのなかで、決して嘘をつくような人でないことは私たちもよく知っている。そのシルバー・バーチが、新約聖書のイエスはかつてこの地上で果たしてきた神の使徒としての使命を、いまもなお果たし続けていると言っているのである。そのことがわかって初めて、"見よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいるのである”(マタイ28-20) というイエスのことばの本当の意味が理解できるようになる。いまのキリスト教会では、このことが説明できない。

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 255. (交霊会主催者ハンネン・スワッハーの序文 =5=)

 読者がこれからこのシルバー・バーチの教えを読むときには、これらのことばが暗闇の中で速記者が点字用ノートを使って書き留めたものであることを知っていただきたい。この速記者は、速記の達人であったが、それでも、シルバー・バーチの話の速さについていくことはなかなか大変であった。シルバー・バーチの話すことばは、一語として、決して言い換えられることはなかった。そのことばは、完全な美しい英語で流れ出ていた。句読点だけは速記者がつけなければならなかったが、それも間違えようがないほど、どこにつけるかは自然にわかるように話されていた。
 すぐに気がつくように、シルバー・バーチの哲学はいわゆる汎神論である。神は大自然の中に内在し、不変の法則ですべてを支配している。つまり、神とは法則なのである。
 シルバー・バーチはそれを、"あなた方は神の中に存在し、神はあなた方の中に存在しているのです” と説く。その意味では、私たちはみんな潜在的な神なのであり、宇宙のすべての存在原理の一部であるということになる。
 もっとも、シルバー・バーチは、ことばだけの哲学で終わらせない。人間がこの世に生まれてくるのは、それぞれに為すべき仕事があるからだと熱心に繰り返している。宗教についても、それは"奉仕"であると単純明快に一語で定義し、たとえ私たちが神の道具としては粗末な存在であっても、地上の戦争を止めさせ、貧困をなくし、神の恩寵が世界の諸国民の間に豊かに行き渡るときが早く訪れるように努力することを、私たちに懸命に教えようとしている。
 シルバー・バーチは言う。私たちが誠実であろうとするのは、一つの教義に対してではなく、一冊の聖典に対してでもなく、一個の教会に対してでもありません。それは、生命そのものである神とその永遠不変の摂理に対してなのです」 

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 256 (編集者A.W. オースティンによる序文)

 シルバー・バーチは、「私はこの本の著者ではありません。霊界の高い領域から送られてくる通信を仲介しているだけです」と述べているが、編者の私も、これらの教えが一切の叡智を備えた高位の存在の絶対に正しい教えであると主張するつもりはない。霊界通信というのは、それが霊界からのものであれ、この地上でもたらされるものであれ、私たちが批判的な立場をすべて投げ捨て盲目的に受け容れるためのものではない。また、新宗教を打ちたてるために行なわれるものでもない。霊界通信で明らかにされていく事実はつぎつぎに新しくなっていくし、それに、それを受け止める能力によっても、その内容は変わってくる。
 シルバー・バーチは、いつも人々の理性に訴えて話をする。だからもし、シルバー・バーチの言っていることが読者の理性に照らして受け容れられないのであれば、きっぱりと拒絶されてよい。あるいは、少なくとも、十分に納得できるまでは未解決の疑問として残しておかれるべきである。
 この本は、読者が参考にしやすいように、何百回にも及ぶ交霊会の記録のなかから、私が問題別に整理して編集したものである。だから、本文の各章は、一続きの長い講話をまとめたものではない。時には、シルバー・バーチの交霊会の三〇回から四十回分のなかから適宜選び出してまとめたものもある。編者としては、そのようにして選び出したシルバー・バーチのことばが、各章のなかで一貫した思想を保てるように本文を組み立ててきた。

   1938年3月 A.W.オースティン